青潮とハゼ|酸素の少ない水が来たとき、魚たちはどうなる?

公開:2026年11月3日

江戸川放水路をふくむ東京湾奥で、毎年のように話題になるのが「青潮」です。青潮が来ると、ハゼをはじめ、川の生き物たちに何が起きるのでしょう。

この記事のポイント

  • 青潮は、酸素のない水が水面近くまで上がってくる現象
  • 動けない貝は全滅することもある
  • ハゼは、水際の浅いところに逃げて酸素を確保する
  • トビハゼなど、空気呼吸ができる生き物は影響が小さい
  • 被害を受けても、数年で生態系は回復する

青潮とは?

東京湾の海底付近には、栄養が多すぎる(富栄養化)ことが原因で、酸素のほとんどない水(貧酸素水塊)がたまっています。この水が、風向きや水温の変化、行徳可動堰の開放にともなう急な淡水や泥の流入などをきっかけに、水面まで上がってくる現象が青潮です。

酸素のない水に含まれる成分が日光に反応して、水面が茶色や緑がかった白、あるいは青っぽい色に見えることがあります。

放水路では、何が起きる?

青潮の水が江戸川放水路に入ってくると、水の中の酸素が大きく奪われます。2021年6月の調査では、放水路の底のすぐ上の溶存酸素が3.4〜3.6mg/Lまで下がり、貧酸素の一歩手前のきびしい状態が確認されています。

自分で動けない二枚貝などは全滅することがあります。沖から逃げ込んできたアカエイのような大きな魚も、息ができずに死んでしまうことがあります。貝がいなくなると、潮干狩りの場所選びにも関わってきます。潮干狩りについては 潮干狩り のページを見てください。

ハゼは、水際へ逃げる

青潮が起きると、ハゼは酸素を求めて、波打ち際のような「水際」や、極端に浅いところへ一斉に逃げ込みます。

水際は水深がとても浅いので、水の量に対して、空気にふれる水面の割合が大きくなります。波のわずかなゆれでも、空気中の酸素が水にとけこみやすく、小さな「酸素の避難所」ができるのです。体の小さなマハゼの幼魚は、このわずかな酸素をたよりに生き延びようとします。

逃げ込んだ先で待っているもの

ただし、水際に逃げることは、危険ととなりあわせです。酸欠の魚が水際に大量に集まるので、それをねらって鳥のカワウが集まってきます。三番瀬の事例では、約2000羽のカワウが飛来して、逃げ場のない魚を次々と食べたという記録があります。

影響を受けない生き物もいる

いっぽう、トビハゼやヤマトオサガニのように、空気中で呼吸できる生き物にとって、水中の酸素が減ることは脅威になりません。水の外にいれば、被害を受けずに生き延びられます。

数年で、回復する

青潮で一時的に生き物が減っても、数年たつと生態系は回復します。江戸川放水路の汽水環境は、高い回復力(レジリエンス)を持っていると言われています。

ハゼが生まれる時期をずらすことで、こうした環境の変化に備えているという見方もあります。くわしくは ハゼのサイズがバラバラな理由 を読んでください。

釣りに行くときは

水の色や、においがいつもと違う日。魚が水際に集まって、弱っているように見える日。こういうときは、青潮の影響が出ているかもしれません。無理に釣りをせず、様子を見るようにしましょう。

また、行徳可動堰が開いているときは、川に近づかないでください。くわしくは 江戸川放水路の歴史 に書いています。

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