ハゼのサイズがバラバラな理由|複数の「世代」が混ざっている
ハゼ釣りをしていると、同じ日、同じ場所で、小さいのと大きいのが混ざって釣れることがあります。実はこれ、ハゼが「複数の世代」で暮らしているから、という見方があります。
この記事のポイント
- 「春に生まれて、冬に産卵して一生を終える」という単純なモデルは、近年の調査で見直されつつある
- 江戸川放水路には、生まれた時期の違う複数のグループが同時にいる
- 時期をずらして生まれるのは、環境の変化に備える「危険分散」とも考えられる
ハゼの生まれ時期は、ひとつではない
マハゼは「春に生まれて、冬に産卵する」と説明されることが多い魚です。ところが近年、月ごとに全長を測り、サイズの分布から生まれた時期のちがうグループを見分ける「コホート解析」という方法で調べると、もっと複雑なようすが見えてきました。
2021年の江戸川放水路の調査
江戸川放水路でおこなわれた2021年の調査(東海大浦安サイエンスクラスなどによる調査)では、サイズの異なる3つのグループが、同じ時期にいることがわかりました。
| 調査月 | 見つかったグループ(全長) | 推定される生まれ時期 |
|---|---|---|
| 6月 | 56mm | 同じ年の2〜3月生まれ(ふ化から約4か月) |
| 6月 | 78mm | 冬生まれ(前の年の12月〜1月ごろ) |
| 6月 | 130mm | 前の年の9〜10月生まれ(ふ化から約9か月)。「ヒネ」と呼ばれる大型のグループ |
| 7月 | 82mm・95mm・137mm | それぞれのグループが成長を続けている。30℃を超える高水温でも成長 |
| 9月 | 65mm・91mm・140mm | 65mmのグループが新しく加わった |
ふつうは2〜4月ごろが産卵のピークとされています。それ以外にも、前の年の秋や、真冬に生まれたグループがいるということです。
なぜ、バラバラな時期に生まれるの?
考えられている理由のひとつが「危険分散」です。
江戸川放水路をふくむ東京湾奥は、夏に青潮(酸素の少ない水が上がってくる現象)が起きやすい、環境の変化が大きい場所です。もし全部のハゼが同じ時期に生まれていたら、大きな青潮が一度来ただけで、その年の世代が全滅してしまうかもしれません。
生まれた時期がずれていれば、ある時期のグループがダメージを受けても、ほかの時期のグループが生き残ります。きびしい環境で、種を保つための工夫だという見方です。青潮については 青潮とハゼ で紹介しています。
※この表と解釈は、ある年(2021年)の調査の例です。年や場所によって、グループの数やサイズは変わります。
サイズ調査の動画
実際のハゼのサイズ調査は、YouTubeでも紹介しています。
▶ 6月上旬の江戸川放水路でハゼのサイズ調査に行ったら結果はやはり・・
