マハゼの一年|江戸川放水路で生まれ、育ち、落ちていくまで
江戸川放水路で釣れるハゼの多くは「マハゼ」です。寿命は1年ほどと短く、そのあいだに、浅い川と東京湾の深場を行ったり来たりします。ハゼの一年の動きがわかると、「いまどこを狙えばいいか」が見えてきます。
この記事のポイント
- 春(2〜4月ごろ)に、海で生まれた稚魚が浅場へやってくる
- 夏は浅い砂泥底で急成長。メダカくらいの大きさから、秋には10cm超に
- 11月ごろ、産卵のために深場へ移動する。これが「落ちハゼ」
- 冬から春先に産卵し、親魚の多くは一生を終える
春|海で生まれて、浅場へやってくる
冬から春先にかけて、東京湾の深場で生まれたマハゼの仔魚(しぎょ)は、しばらく海の中をただよって過ごします。そして2月ごろから、ピークの3〜4月にかけて、川をさかのぼって江戸川放水路のような浅い汽水域に着底します。早い年には、1月の終わりごろから姿を見せることもあります。
着底したばかりのころは、1〜2cmほどしかありません。浅場は流れがゆるやかで、日ざしで水があたたまりやすいので、小さなハゼが育つのにちょうどいい場所です。
夏|メダカサイズから、ぐんぐん育つ
夏にかけて、ハゼは急に大きくなります。6〜7月ごろには6〜7cm前後になり、砂地や泥底へと活動する範囲を広げていきます。
水温が上がりすぎるのは苦手で、ある程度の水深があり、潮通しのよい場所を好む傾向があります。
ただし、同じ時期でもサイズはそろいません。大きいものと小さいものが混ざっている理由は、ハゼのサイズがバラバラな理由 で説明しています。
秋|10cm超に育って、深場へ
9月ごろには10cmほどになり、浅場で盛んにエサを食べて育ちます。
秋が深まって11月ごろになると、10〜15cm以上に育ったマハゼが、水温の低下と産卵に向けた成熟をきっかけに、浅い川や運河から水深10m前後の東京湾の深場へ動き出します。この時期の大きなハゼが「落ちハゼ」です。
なぜ深場へ向かうのかは、落ちハゼはなぜ「落ちる」のか にまとめました。
冬〜春先|深場で産卵
冬から春先にかけて、東京湾の海底でオスが巣穴を掘り、メスを呼んで産卵します。卵のお世話は、オスがひとりで引き受けます。産卵のあと、親魚の多くは一生を終えます。
くわしくは ハゼの産卵 を読んでください。
なお、育ちがゆっくりで冬を越し、2年目まで生きる大きなハゼ(「ヒネ」と呼ばれることがあります)が混ざることもあります。
季節ごとの居場所と、釣り方の目安
ハゼの動きに合わせて、釣り場や釣り方も変わっていきます。
| 時期 | ハゼの居場所 | 釣り方・読むページ |
|---|---|---|
| 6月〜9月ごろ | 岸に近い浅い砂泥底。上流側の行徳可動堰から妙典のあたりの遠浅なエリアが中心 | のべ竿で、足元の浅いところを探る。岸釣りポイント・桟橋でハゼ釣り |
| 9月後半〜11月ごろ | 少しずつ下流側、やや沖の深い筋へ | ボートや、ちょい投げで広く探る。ボート屋の比較と選び方 |
| 11月半ば〜 | 水深のある深場へ(落ちハゼ) | ボートや、深いところをねらう釣り。落ちハゼの釣り方 |
放水路には、マハゼ以外のハゼもいます
江戸川放水路の干潟には、マハゼのほかにもいろいろなハゼの仲間がすんでいます。チチブやスジハゼのように、障害物のまわりや砂地で暮らすもの。アベハゼやマサゴハゼのように、干潟のタイドプール(潮だまり)などで暮らすもの。そして、泥の上に出て空気呼吸もするトビハゼ。トビハゼやマサゴハゼは数が少ない種類とされています。
マハゼは、大きくなると東京湾へ出ていく「旅をするハゼ」です。いっぽうで、アベハゼやトビハゼなどは放水路の干潟で一生を過ごす傾向があります。旅をするハゼと、ずっとここにいるハゼ。どちらも暮らせる環境が、江戸川放水路にはそろっています。
